平成27年度ASEAN文化交流・協力事業(アニメーション、映画分野) 映画撮影照明ワークショップ等・コーディネート業務実施レポート

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文化庁平成27年度ASEAN文化交流・協力事業(アニメーション、映画分野)内の、「映画撮影照明ワークショップ・マスタークラス」が平成27年11月25日、26日とマレーシアのImagica South East Asia(以下、ISEA)が隣接するPinewood Iskandar Malaysia Studios(以下、PIMS)で行われ、ISEAが現地コーディネートおよびサポート業務を行いました。

この事業はASEAN文化交流を目的とし、アジアにおける映像分野の活性化を目指すもので、公益財団法人ユニジャパンおよび東京藝大大学院映像研究科によって企画・運営されており、今回は、ワークショップの講師に東京藝大大学院映像研究科より柳島克己教授を迎えて、オープンセットを組んでの撮影からグレーディングまでという一連の作業を実施し、講義を行い、参加者には実作業を体験してもらうというワークショップでした。

参加したのはマレーシアマルチメディア大学の学生30名。またマレーシア撮影監督協会からも14名の参加があり、シンガポールからも学生8名が参加しました。同行していた同大学院の磯見俊裕教授にも参加協力いただき、実際に組まれたオープンセットの中での撮影や、その後の作業、講義、質疑応答など含め、両日とも熱の入ったワークショップが実施されました。


実際のワークショップの模様の一部

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今回のワークショップについて、お二人のお話をお聞きしました。


東京藝術大学大学院映像研究科 柳島 克己 教授 

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柳島 克己


岐阜県出身。東京写真専門学校卒業。撮影助手としてキャリアを重ね、劇場作品の撮影監督作品は多数。北野武監督作品の撮影も多数担当。2002年、『GO』で第25回日本アカデミー賞最優秀撮影賞、2004年、『座頭市』で第27回日本アカデミー賞最優秀撮影賞を受賞。


―2日間のワークショップを終えて、マレーシアの学生についての印象はいかがでしたか?

こうしたワークショップは日本でも色々やりますが、マレーシアの学生の印象は、とても前向きな姿勢だということですね。映像を学びたいという熱が強くあることを実感しました。日本の学生よりこの点は熱い気がしますね。
やはり、アジアにはそうした思いが強くあることを感じました。

-今回、実際に使う機材や準備はマレーシア国内で行ったのですが、いかがでしたか?

実際使った機材も今回は特に多くはないので、機材の種類については分からないですが、みんなよく働くし、こちらの要望に対する対応の仕方も大変良かったし、日本での作業と違和感は全くないですね。
実際に働いている人たちは人間性も含めてすごく信頼感がありました。

-今回、学生以外にもマレーシアの撮影監督協会の人も一部参加していたのですが、いかがでしたか?

彼らも日本とやることは同じだったし、対応も全く違和感なかったですね。
そういえば、マレーシアの撮影監督協会にも入ってほしいと言われました(笑)。

-こういったワークショップを海外でやるにあたっていかがでしたか?

最初は何をやったらいいかわからない部分も多かったし、具体的なことが聞こえてこなかったので、何を目的にしたら良いかが分からなかったんですね。ただ、実際、先ほどもお話したように、現地の学生たちはものすごく真剣だし、熱意があってやってみて本当に良かったと思います。
それと、こうしてアジアの各拠点で日本企業が業務をしていてくれることは、心強かったですね。IMAGICAさんが現地コーディネーターとしていてくれて本当にやりやすかったです。現地で僕らが何を求められているのか、どういった内容でワークショップを行えば現地のニーズに応えられるかが分かるし、準備もしやすかったです。
こうした日本としてのチームワークもあって、今回は非常に良いワークショップが出来たと思います。


東京藝術大学大学院映像研究科 磯見 俊裕 教授

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磯見 俊裕


京都府出身。立命館大学産業社会学部卒業。ファッションメーカー勤務、日刊木材新聞編集者を経て独立。グループ「ウッディライフ・クリエイト」を設立し木に関するイベントを多数手がける。劇団維新派と知り合い京都に千年シアターを建設したことがきっかけとなり、映画美術デザイナーとなり、映画のプロデュースも手がける。


-マレーシアでのワークショップについての印象はいかがでしたか?

まず気候的に、もっと暑いと思いましたが、時期の問題もあるのかもしれないですが、日本の夏より過ごしやすい印象でした。マレーシア、特にまだまだ大都市とは言えないのかもしれないけれど、発展途中にあるこのイスカンダル地域については、今回使わせていただいたスタジオはオープンセットも組めるし、良いなあと思いました。スタジオでは仕上げ作業も出来るし、もちろん試写も出来る。こういうスタジオはとても面白いなあと思っています。
実際、日本にはオープンセットを組めるスタジオが少ない(京都にはあったりするが)ので、そういう意味でもかなり面白いなあと思いました。植物について、ちょっと日本と違うので気になるところですが、そのあたりに留意すれば、日本らしいものも十分撮影出来るなあと。良い環境ですよね。

-現地のスタッフについて何か気が付いたこととかありますか?

今回のワークショップの場合、台本があってセットをお願いしたわけではないし、どういう素材があってどういったことが出来るかがこちらも分からなかった中で、日本から送った図面に沿って基本セットを組んでくれていたのですが、精度はそれなりに高く、大道具さんの仕事への姿勢も良いし、技術スタッフに関してはかなり優秀だと思いましたね。
思っていたより、スタッフの動きもよかったと思います。

-教育の観点から見て何か感じたことはありますか?

この施設はうらやましいなあと思いましたね。
だから、もちろんインターンで学ぶことも重要だと思うのですが、もっと学校を利用して学んでほしいなあと。学生には、この環境で自由に映画を作らせると面白いんじゃないかなと。

-海外でのワークショップいかがでしたか?

施設を含めた環境はとても良いと思ったし、スタッフの姿勢もよくて、一言でいうととてもやりやすかったですね。
それとマレーシアの状況がよくわからない中でのワークショップだったので、最初、不安もあったのですが、日本ではどうかということを理解してもらっているIMAGICAさんが現地にいてくれて助かりました。日本の意図を事前に分かった上で、良い形で現地とつなげてもらえて助かりましたね。


ワークショップ・コーディネート業務を終えて・・・

ISEAは2014年にマレーシアにIMAGICA、初の海外拠点として設立され、2016年の今年は間もなく設立3年目を迎えます。設立の目的の一つにポストプロダクション分野における実践的なトレーニングサービスを提供し、高度な専門スキルとクリエイティビティを兼ね備えた人材を育成し東南アジアを中心とした世界中のポストプロダクション産業の発展にも寄与することを掲げており、こうした日本とアジアの文化交流を目的としたワークショップに協力できたことは非常に意義あることと考えています。
これからもこうした事業にも積極的に取り組み、日本とアジアの映像産業の発展並びに文化交流にも取り組んでいきたいと考えます。

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