WOWOW「連続ドラマW コールドケース~真実の扉~」
東京ドラマアウォード2017 特別賞 受賞
スタッフが語る制作の舞台裏にあった新たな挑戦

2016年に放送された「連続ドラマW コールドケース~真実の扉~」(WOWOW)が、東京ドラマアウォード2017の特別賞を受賞した。
受賞の理由の一つは、その映像のクオリティの高さであった。この作品の撮影を担当した映画「シン・ゴジラ」などでも知られる山田康介氏、そして、ポスト・プロダクションを手がけたIMAGICAのスタッフが受賞の喜びと、制作の舞台裏を語り合った。


普通ならやらないことへの大きなチャレンジが評価、受賞は大きな喜びに

山田康介
普段は映画の撮影が中心ですが、今回ドラマは3本目で、すべてWOWOW作品となります。今回は4K・HDRで作るというのが、スタートでした。普通ならやらない、技術的にも冒険をした大きなチャレンジだったので、その映像が評価されたということは大変嬉しいです。

金丸知人(IMAGICA 映像事業本部 プロダクション部 撮影・インジェストグループ)
撮影デスクを担当しました。以前は映画が映像技術の最先端を担っていた。それが、現在はドラマが技術において先行するようになりました。そうした状況の中で、ドラマを4K・HDRで全部作るということで、自分の当時の力をすべて出し切った作品だったので、受賞出来て最高の気分ですね。

山下哲司(IMAGICA 映像事業本部 プロダクション部 データイメージンググループ)
映像のルック(見た目)を決めるカラーグレーディングを担当しました。今よりもはるかに情報がない中で、新しいことに挑戦するドラマでした。4K・HDRで、今まで見たことのない世界をどこまで作れるか。映像の可能性を大きく広げていく、変えていくプロジェクトだったので、このような賞をいただけたのは大変光栄です。

4K・HDRでの作品作りへの各々の挑戦と苦労

山田康介氏

金丸
作品に合ったカメラを提案するのが自分の仕事。4K HDRというお題の中で、当時最も新しいカメラを使ってもらいたいと思いました。日本にもまだ入っていないカメラ、REDのWEAPON DRAGON。本作は最後にスローモーションがあるので、4Kでハイ・スピード撮影なら、これだと思いました。

山田
初めてこのカメラで撮影した映像の印象は、じゃじゃ馬だなと。色の再現という意味では、正確に色再現がされないカメラというか。ただ、可能性はすごくあるな、と思いましたね。じゃじゃ馬を乗りこなしてやろうと。イメージした映像に向かって、山下さんと作品のルックをつくるところが始まりですね。今回の作品は、アメリカのドラマのリメイクですが、オリジナルをそこまで意識しないでおこうと思いました。クールだけど、人情味もある画面。事件の闇の部分と、人間の機微の対比。それを絵(画)としてどう表現するか。

山下
このカメラでの撮影は最初だからこそ、インパクトを与えたいという山田さんの強い想いは感じましたし、それに応えたいと思いましたね。クランクイン前に、ルックの方向性や映像の世界観をどう作っていくか、色合いをどうするか、山田さんと話しました。

山田
4K・HDRでやる、って決まって、いろいろなデモを見たんですけど、気になるのは、ドラマとして、その質感はどうなんだということ。どんどん映像技術が上がって、モニターも進化して、人間の見た目に映像が近づいていくというのが、通常の世の中の流れだと思うんです。けれど、ドラマとして、そんなに生々しいものが見たいのか、っていうところを、いつも考えてしまう。今回も、どこまでリアルな質感を残しつつ、それでもやはり、ちゃんと作品としてのルックを作るのかが問題でした。ドラマの世界観として、観客がちゃんと没入できるようなルックを作っていくことが一番苦労したというか、大事にしたところですね。

山下
4Kであったときに、どうしても、リアルになりすぎてしまう。生っぽいと表現されるテイストですね。リアルを求めてくる新しい技術なので、当然生々しいんですけど、それがなりすぎないところに留めていかないといけない。山田さんも本当に映像の質感としての落ち着きというか、そういうものを求めていらっしゃって、具体的な色合いとして表現できる形が必要でした。そこは話しながら詰めていきました。

試行錯誤から生まれた成功への選択のカギ

山田
未解決事件を解決するのがこのドラマのコンセプト。必ず過去を回想するシーンが出てきます。ここは大事にしようと思いました。過去と現在を行き来するドラマですが、その過去の時代は各話で違う。普通の映画で回想だったら、こんなテイストで分かりやすくという手法があるんですけど、ひとつひとつ時代ごとの、その時代の絵ってなんだろう、ということを考えながら1個1個ルックを作っていきました。作業としては大変だけれど、楽しくてしょうがなかった。

山下
今考えると、クランクイン前にあそこまで、よく作りましたね。なかなかあそこまでやりきるのは難しいですよね。

金丸
そこで、回想に16ミリフィルムを使った。かなりうまくいったという感じでしたね。フィルムの質感がデジタルで表現できた。16ミリの4Kスキャニングの威力が発揮されました。

山田
マスタープライムで撮ったのがよかったかもしれない。現存するレンズの中では一番解像力のあるレンズ。これを16ミリのフィルムで使ったんですよ。多分、誰もやらない(笑)。基本的に35ミリ用のレンズなんで。

山下
本当に絵(画)によっては16ミリに感じない、というか。この16ミリの絵(画)って見たことないな、という驚きがある。“フィルムってこういう映像だよね”というイメージを皆さんお持ちだと思うんですけど、誰も見たこともないような質感が出てくるというか。今回やってみて、この技術レベルになればフィルムをここまで活かせるんだという感覚はありますね。

高精細映像作品における最後の闘い~グレーディング~

金丸知人

山田
WOWOWの現場が、ほかのドラマと違ってすばらしいのは、撮影が終わったあとに仕上げがくるということ。撮って出しだと、どうしても監督もひとりじゃ回せなくなるし、編集も大変になってくる。こういう映画的なプロセスが組めたということはすごいこと。まとめてグレーディングをするという期間を作ってもらえたので、自分としては大変助かりました。まずは、撮影。そして、グレーディングが最後の闘いになる。

山下
グレーディングって、“なんか違うよね”ということの連続なんですよね。進むべき道が明確にある、ビジョンがある。それに向かって、“違うものは違う”と感じながら整えていくのがグレーディング。映像の感じ方みたいなところで山田さんと共有できているというのが大きかったですね。

金丸
最近、グレーディングの重要度が高まってきている。そもそもテレビドラマでグレーディングってなかなか、ないんですよね。観たままの映像で撮って、そのまま繋いで、そのまま放送という形がほとんど。WOWOWの場合は、求める技術のレベルが高い。いい絵(画)を作りたいという思いが強いので、グレーディングありきで、現場が進む。WOWOWだからできる、プロデューサーが理解しているからできるというところがありますよね。こういう現場を通じてIMAGICAはまた技術を高められるので大変ありがたい。山田さん、IMAGICA、WOWOWで、一つのいいチームができました。

続編の制作が決定、このチームで「世界へ」

山田
撮影している時に続編の話は出ていたので、来たかという感じ。次は、さらに上に行かなきゃいけないのは分かっているので、4K・HDRというベースはありつつ、そこから先に何ができるかということ。この作品の長所は、10話分の回想シーンを作れるところなので、これからまた考えていかないといけない。次は35ミリのフィルムを使って、高解像度でスキャンしてみようとか。いろいろな実験ができる作品。様々な可能性が広がるので、新しい作業自体が楽しみです。

山下
見たことのない感じを作るというのが現場の認識として共通しているので、また違う雰囲気を出して、見る人を驚かせたい。そこでしっかりインパクトを与えながら。具体的にどういう技術を入れるかはこれからですね。

金丸
前回より技術的に1段階上げたいという想いはありますね。一番いいカメラを用意してやろうとは思ってるんですけど(笑)。本作の岡野プロデューサーはこのチームで「世界へ行こう」と言っている。パート2も決まりましたね。

山田
映像って、見る人の記憶によるじゃないですか。僕が見たものは、過去のフィルムだったりする。時代によって、その人にとっての映像って違うと思うんです。今の若い子たち、これからの人にとって、4K・HDRは当たり前のものになるかもしれない。そうした状況に対して責任もあるし、楽しみもある。新しい技術と向き合って、自分の感覚を信じて、人の映像の記憶となる、新しい映像を作っていきたいですよね。


作品情報

「連続ドラマW コールドケース~真実の扉~ シーズン2」
2018年 WOWOWプライムにて放送予定
監督:波多野貴文(「SP」シリーズ、「連続ドラマW 翳りゆく夏」)
出演:吉田 羊 永山絢斗 滝藤賢一 光石 研/三浦友和

「連続ドラマW コールドケース~真実の扉~」
ブルーレイ&DVD発売中
発売・販売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
© WOWOW/Warner Bros. International Television Production

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