劇場版「MOZU」スペシャルインタビュー

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2014年に放送され、革新的な映像で大きな反響を巻き起こした『MOZU』シリーズ。
シリーズ集大成となる『劇場版 MOZU』が公開され、『…Season1~百舌の叫ぶ夜~』が第43回国際エミー賞の連続ドラマ部門にノミネートされるなどさらなる話題を集めている。

このシリーズのメガホンを執っているのが、『海猿』シリーズや『暗殺教室』で知られる羽住英一郎監督。『劇場版 MOZU』の公開を直前に控えた羽住監督と、本シリーズのポスプロを担ったIMAGICAスタッフ陣に話を聞いた。

羽住監督とIMAGICAスタッフが生み出すもの

「一番最初にIMAGICAとやったのは『SAMURAI CODE』(2010)という作品だったんですが、そのときの仕上げがすごくよかったんです。ほかの作品では出会うことのないようなスタッフが大勢いて、僕にとっても非常に印象的な仕事になったんですよ。そのあと『味いちもんめ』(11)というスペシャルドラマのオファーを受けときに、『SAMURAI…』のあの形、あの感じでやれたらと思って、そこでもIMAGICAにお願いして。それ以来、ポスプロはIMAGICAで、『MOZU』シリーズなんかスタッフルームも編集室もIMAGICAでしたからね」

そう語るのは、ほかならぬ羽住英一郎監督。『MOZU』にも参加している編集・西尾光男も『SAMURAI…』からの羽住組となる。


西尾 光男

西尾 光男

「助手をやっている頃に『SAMURAI…』につかせていただいて、そのあと『味いちもんめ』、『ワイルド7』(11)をやって、『ダブルフェイス』(12)で技師(メイン編集)として声を掛けていただきました。自分が羽住組に参加して思うことは、日々精進だな、ということ。ほかの仕事ももちろんそうですが、前作と同じレベルでいいということはなくて、ステップアップしてなきゃいけない。羽住組はそれが如実で、常に前作よりもレベルの高いものを求められているなというのが、素材を見ているだけでも感じられます。そこで自分も気を抜けないなと鼓舞されて、非常にやり甲斐になってます。作品や現場にもよりますが、羽住組の素材は多いほうだと思います。ただビジョンがなくて撮っているということではなくて、ちゃんと割りも決めて撮っていながら、そのうえで、まだいじっていいよっていう余白がある。いろいろなパターンが考えられるので、時間は掛かりますが、そこが楽しいところでもありますね」(編集・西尾)


常に進化していく現場と作品性

赤羽 智史

赤羽 智史

 VFXの赤羽智史も『SAMURAI…』からのスタッフのひとり。羽住組とその現場の印象を、こんな風に語っている。

「とにかく早いんですよ。現場自体ももちろん早くて、監督の決断も早い。ものすごいスピード感でやっていくなという印象が最初からありました。その中でどうしてもCG・合成はややこしいことをやらないといけないので、現場のテンポを壊しかねない。現場は生ものだっていうことを羽住組では強く感じます。だから、それを壊さないようには気を付けてますね。監督は割りと大きく投げてくれるというか、指示が具体的ではないことも多いんです。そういう投げられ方は僕自身も好きなんですが、そのカットで監督の伝えたいことは明確にあるので、そこを汲み取りながらイメージを広げていく楽しさというのをすごく感じながらやっています」(VFX・赤羽)


岡田 浩二

岡田 浩二

 常に新しいことに取り組んでいるというのも羽住組。ポスプロのコーディネートに当たる岡田浩二はこう語る。

「最初の関わりは『MOZU』のSeason1で、そのあとSeason2、『暗殺教室』、『劇場版 MOZU』、『MOZUスピンオフ』とやらせていただいてますが、西尾の言うように、常に前作を超えていくというところで新しいチャレンジをしている中で、仕上げの部分でも今までにやってないような試みをしているので、今までの段取りプラスαのアイデアを出しながらやっていくことが、大事な仕事であり、やり甲斐にもなっています。大変といえば大変なんですが、仕上がった作品を見るとやった甲斐があったなと毎回思わせていただけるので、非常に充実した仕事になっています。監督から出てくるいろいろなアイデアに対して、まわりからもどんどんアイデアが出てくる印象があるのが羽住組。現場主義で、仕上げに関してもその現場でいろいろなアイデアやリクエストが出てくるので、そのパワーに応えられるように頑張ってます」(ポスプロコーディネート・岡田)


 また、カラーグレーディングの山下哲司もこう語る。

「『THE LAST MESSAGE 海猿』(10)が最初の仕事で、それ以来、ドラマ・映画問わず羽住さんの作品はずっとやらせていただいてますが、常に進化しているなと感じさせられます。監督はそれがドラマであっても、常にその前の作品を超えていくという思いでやられているんですよね。ドラマと映画の違いはなくて、ドラマでも映画と同じクオリティが求められてくる。『MOZU』の連ドラがオンエアされて、業界の方からここまでよくやり切ったなっていう声を耳にし、映像の雰囲気として“『MOZU』っぽい”という表現もされるようにもなって、インパクトを残せたなという実感があります。」(カラーグレーディング・山下)

山下 哲司

山下 哲司

ポスプロにおいても「振り切る」ということ

その山下も言葉として語っていたのが、「振り切る」ということ。監督は『劇場版 MOZU』の撮影現場において、撮影スタッフやキャスト陣にも振り切って欲しいという指示を出していたそうだが、それはポスプロのスタッフにおいても同様だったようだ。

「よく監督がおっしゃられているのが、“振り切って欲しい”ということ。特に『MOZU』においては各所でその言葉を言われていて、現場の画作りからしてもそうですが、現場スタッフの皆さんが振り切ってやられたことが合わさって、相乗効果としてあれだけの迫力と重みのある作品に繋がっているのかなと。現場で世界観が作り上げられているなかグレーディングで振り切るというのはなかなか難しくて、ある意味、現場でカメラマンさんや照明部さんも最大限振り切られていたので(笑)、そのなかで映画はさらにどう発展させていくのか、その世界観の方向性を見据えてさらに一味加えていくよう心掛けました。ルックが話題になるような作品にしたいと仕事柄思うんですが、羽住組はドラマでも映画と同じ技術レベルで作り込みをしていくことが許されるので、ルックにこだわり、そのルックがドラマにおいてどのくらいインパクトが残せるかを考えていましたね。『MOZU』の連ドラがオンエアされて、そういうなかで一般の方にもこうした試行錯誤の結果、意図していたルックが伝わっている実感というか、映像の質感において何かが違うって見ている人に感じてもらえたんじゃないかと思った時は喜びを感じる瞬間ではありましたね。羽住監督とはまた、違うステージで、みんなを驚かせるようことを一緒にやらせていただきたいと思っています。」(カラーグレーディング・山下)


スタッフの個々の能力と技術が出せる作品づくり

左から羽住 英一郎監督、森井 輝プロデューサー

左から羽住 英一郎監督、森井 輝プロデューサー

この「振り切る」という思いに託すかのように、羽住監督はIMAGICAのスタッフについてこんな風に話している。

「みんな本当は、すごくやりたがりなんですよね。ただ、基本的にどうしても制約があるなかで、そこまで自分の色や技術を出せる仕事というのも、そうそうポスプロの業務だとないじゃないですか。自分の作品をやってもらうときは、それをなるべく出させてあげたいなって思うんです。ポテンシャルの高いスタッフばかりなので、任せればみんな絶対にいい仕事をしてくれるんですよ。我々とやるときは、目一杯それを出せるというか、出してもらえたらと思いながらやっています」

 前出『SAMURAI…』始め、『MOZU』シリーズなど羽住作品のプロデュースを務めるROBOT・森井輝プロデューサーもこう話す。

「みんなすごく技術や引き出しがあるんですよね。ただ、CMやMVといった短いものだとそこまで要求されない場合もあって、スタッフのやりたいことのためにハコ(編集室)を使う時間を伸ばすわけにもいかないから、結果、要求されたことだけになってしまう。IMAGICAの人たちは、最初、監督の仕事に対して“長もの”っていう言い方をしていたのですが、『SAMURAI…』だってミニドラマで1話約5分なんですよ。ただでさえ、それに対する緊張感もあるなかで、監督に求められることに最大限応えていいんだ、応えなくっちゃいけないんだという状況になって、実際、やれる場も与えられて、みなさん、水を得た魚のようにやっていただけているなという印象でしたね」


信頼のその先に

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 実力を認めていて、全幅の信頼を置いているからこそ、さらに高いところを求める監督。そしてもっと高いところに返していこうとするIMAGICAスタッフ陣との関係性はクリエイティブにおいて理想的とも言えるが、それだけにいい意味でのプレッシャーもある。
「“慣れ”にならないようにはしてます。正直、『ダブルフェイス』で声を掛けていただいたときから思っていたんですが、これで駄目だったら次はないという思いでその都度、向き合っています。IMAGICAとROBOTのグループの繋がりがあるから声を掛けていただけるような仕事の現場ではないと思っていますし、また声を掛けていただくためにも、さらに自分も成長させて、ここまでの仕事を活かせるようにしたいと毎作思って取り組んでいます」(編集・西尾)

 しかしそのプレッシャーもまたやり甲斐や成長に繋がっていくものだ。羽住組は大掛かりでハードな撮影でも知られるが、そこを狙う監督の答えも明確だ。大変なほうが、いいものができるから。その喜びと楽しみは、ポスプロのIMAGICAスタッフも知っている。

「スケジューリングに関しては、どうしても撮影も仕上げも時間がない中ではめていくことになるので、言われてなくてもある程度先回りして、次はこれがありそうだということをあらかじめ準備・調整しなくてはなりません。でもそれがうまくいったときは、やはり達成感がありますね。また新しい作品で僕らが思いつかないようなことをやっていただいて、僕らもつねにそれに応えていく姿勢でいたいと思っています。現場の情熱がすごく高いので、仕上げの部分でもその情熱を覚ますことなくさらに燃やして、完成度を高めていけたら最高ですね」(ポスプロコーディネート・岡田)

「毎回、作品のグレードも上がっているので、プレッシャーは正直ありますね。『MOZU』と殺せんせー(『暗殺教室』のキャラクター)にしても全然違うわけで、その作品にきちんとアジャストするというのがまず第一にあって、仕上げもそれぞれ大変になってくるので、スムーズに進めるために現場でできることをその都度やりながら、毎回積み上げている感じです。監督は、つねに現場を引っ張ってくれているし、ものすごく見極められてるなという気がするんですよね。僕らが考えている以上のことを考えられているので、そこで一緒に仕事をさせていただくことで、自ずと僕らも、さらに引き上げられている気がしています。殺せんせーという人じゃないキャラクターもやったので、次は何でしょうね。恐ろしいですね(笑)。信じてついていくだけです」(VFX・赤羽)

羽住監督がつねに求める更なるもの~それはIMAGICAスタッフ陣にも魅力的な頂となる。


『劇場版 MOZU』DVD&Blu-ray好評発売中!

©2015劇場版「MOZU」製作委員会 ©逢坂剛/集英社

©2015劇場版「MOZU」製作委員会 ©逢坂剛/集英社

2014年に映像業界を震撼させたTBS×WOWOWの共同ドラマ『MOZU』。
原作は、ハードボイルド作家・逢坂剛の代表作で、映像化不可能と云われ続けてきた、累計240万部突破の警察小説「百舌シリーズ」。その伝説的小説を、羽住英一郎監督のもと、映像表現の限界に挑戦し作り上げた革新的ドラマは、多くの熱狂的なファンを獲得しました。
そして、2015年日本映画の常識を超えた史上空前のスケールで描く、エンターテイメント超大作『劇場版 MOZU』が公開され、大ヒットを記録しました。
2016年5月11日より『劇場版 MOZU』がDVD&Blu-rayで好評発売中です。
詳細は下記をご覧ください。

『劇場版 MOZU』DVD&Blu-ray好評発売中!
5月11日発売
●プレミアムDVDBOX(2枚組) 6800円+税
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【 特典映像(予定)】
オフショット満載・主要キャストによりロールナンバーカチンコ集
WOWOWナビ番組 Aストーリー編/Bキャスト編/Cメイキング編
WOWOWメイキング~地獄のMOZU示録~
TBS「王様のブランチ」西島秀俊×ビートたけし×羽住英一郎監督
TBS「アカデミーナイトQ」西島秀俊&長谷川博巳
プレミアムイベント集
TRALER~特報・予告・スポット
オーディオコメンタリー 西島秀俊×羽住英一郎監督 進行:安藤弘樹(TBSアナウンサー)
【封入特典】
<初回生産限定>
特性キャラクターカード7枚組(ポストカードサイズ)
*初回生産限定のため数量が無くなり次第、終了となります。あらかじめご了承ください。
豪華ブックレット(24P)

●通常版DVD 3800円+税
 通常版Blu-ray 4800円+税

【特典映像】
TRALER~特報・予告・スポット

*一部内容は予告なく変更になる場合があります。あらかじめご了承ください。

劇場版「MOZU」公式サイト http://mozu-movie.jp/

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