原田麻子

学生時代から憧れて目指していたものは「業界人」

原田 麻子/カラリスト

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その「憧れ」もまた多彩に輝いていたに違いない。カラリストとして引く手数多の原田麻子が学生時代に夢見ていたのは、「業界人になること」。それが彼女のカラリストとしての始まりだ。

「映像業界に関わる人たちのことをそう呼ぶのだと思っていて、自分もそうなりたいと漠然と夢見ていたんです(笑)。もともと両親が映画好きで、家でよく映画を見ていたので、ああいう世界で働きたいって。アカデミー賞の受賞式を見て、あの場所に立てる人になりたいって思っていました。しかも当時はカタカナでギョーカイって書くような人たちが注目された時代で、私は鹿児島出身なのですが、田舎者の自分は単純にその響きにも憧れていたのもあったと思います(笑)。進路希望にもやっぱり業界人って書いていて、先生に『業界人ってなんだ?』って言われて、『業界人は業界人です!』と(笑)。そのときはカラリストという職業については全然知らなかったですね」


カラリストにおいて大事なのは引き出しの多さ

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大学卒業後、ついに映像業界へ。念願の憧れを叶えたことになるが、「大学は英米文学専攻で映像とは関係なくて、専門学校も行っていないので、完全に手探りの状態でした。就職活動をしながら、ポストプロダクションという職場も知ったくらいで。ちょっと異例というか、なんとなくたどり着いてしまった感じです(笑)」と原田。

しかしその中でカラー・コレクションの仕事と出会って、その深みと面白さに魅せられることに。なぜ、そこまではまったのか。それは彼女が語る、カラリストにおいて大事な資質を聞けば見えてくる。

「大事なものは想像力と、あと、どれだけ多くのものを見てきているかということですね。例えば、その映像を”夏の朝”にして欲しいというオーダーがあったときに、”夏の朝”をどう表現するのかは人それぞれだと思うんです。もちろん実際の”夏の朝”を知っておくことも大事ですし、リアルなものではなくても、見て”夏の朝”って思える雰囲気や、ストーリーに合った”夏の朝”を考えることも大事。その人の感性が大事になってくるので、引き出しを作っておかないといけないんですよね。とにかくいろいろなものを見ておくことが大事。言葉で説明することも大切になってくるので、さまざまな表現を知っておくということも重要ですね。あとは、映画。『あの映画のあのシーンみたいな感じ』というオーダーを出されることも多いので、映画をたくさん見たほうがいい。よく学び、よく遊ぶということが大事です(笑)」


ただのオペレーターではない仕事をすることが大切

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そんな原田が、仕事において大事にしていること――。

「ひとりよがりな考えだけではやらないってことですね。もちろんお客様に対して自分のお勧めは出しますが、作品を作るに当たっては多くの方が携わっているので、それを全部聞いたうえで、そこに答えるものを出していくことも大事になってくる。趣味でやっているわけではないので、自分が好きなものだけ出せればいいというわけではないんですね。そのうえで、ただのオペレーターではない仕事をすることが大切。ただ言われたことをやっているだけなら、カラリストって肩書を付けちゃいけないと思います」

仕事の内容においても、そのスタンスにおいても多様性のある人。多様性とはつまりは多才さで、多彩さだ。私生活ではその言葉どおり、「よく遊んでます(笑)」。バイタリティに溢れていて、さまざまな色を知り、さまざまな色を持つのが原田だ。

「この仕事を極めて、そのうえで多くのことに挑戦してみたいです。現場にも出ていって、もうちょっと仕事の幅の広いカラリストになれたらいいなと思います。例えば番組やドキュメンタリー、最終的には映画もやってみたいですが、それこはまだ憧れの段階で、より経験を積んでから挑戦したいですね」
その憧れが色づく日も、そう遠くはないはず。そのときには原田は、アカデミー賞に対する憧れも叶えてしまうのかもしれない。

Text:渡辺 水央 / Photo:杉崎 勝己

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