日々ロック

大規模ではない挑戦的な作品でのポストプロダクション

後列左から
デジタルシネママスタリング/杉山実穂、ラボマネジメント/鈴木裕美、デジタルシネママスタリング/山田瑞恵
前列左から
テクニカルディレクター/石橋英治、デジタルグレーディング/高田淳

ロックだけが唯一の武器の青年がスターを夢見て音楽道を爆走する、『日々ロック』(入江悠監督)。若さと勢い溢れる同作だが、製作を手掛けるのは古きよき日本映画の老舗・松竹で、またポストプロダクションを手掛けるのはこれまでにも同社の作品に携わってきたIMAGICAのチームだ。

そのラボマネジメントを努めたのは、鈴木裕美。「今回はこれまでの松竹さんの作品とは違って、若手の監督を登用して、予算的にも大規模ではない挑戦的なものということでお話をいただきました。スタッフィングに関してはいろいろな決め方があるんですが、テクニカルディレクターの石橋英治さんにしても、デジタルグレーディングの高田淳さんにしても、松竹さんのテクニカルなディレクションや、今回のカメラマンさんとのお仕事をされてきているので、迷うところなく必然的に決まった形です」(ラボマネジメント・鈴木裕美)

規模や条件は違っても、作品にとってより良い方法を選定していくという仕事の進め方自体は変わらない。「この作品に関してはテクニカルディレクターという職務で関わっていまして、作品が仕上がるまでの全体的な技術コーディネートということになるんですが、最初はまずお客様との打ち合わせからになります。カメラマンさんを中心にそのまわりの技術コーディネートをすることになるので、どういうカメラが使われてどういう形で撮って、どういう風に仕上げたいかをうかがいつつ、予算に見合ったフローを提示するということがまず第一歩です」(テクニカルディレクター・石橋英治)

「今回はライブシーンが多かったので、カメラも多かったんです。ただ、同じカメラを何台も揃えることができなかったので、種類が違うと色味も違ってきてしまう。そこで、とにかくまずカメラのテストをして色のチャートを取って、それぞれのカメラの特性を探るところからスタートしました。計7つか8つくらい試したのかな。そこからどう合わせていくのかというところでしたね」(デジタルグレーディング・高田淳)


社内チームだからこそ連携もスムーズに取れる

そして最終の仕上げで関わってくるのが、デジタルシネママスタリングの山田瑞恵と、杉山実穂だ。
「デジタルシネママスタリングは、DCPという映画館に掛けるためのデータを作る仕事になります。行程の前段階の方が画の調整をしているんですが、最終的に音もあわせて一緒にチェックをして、データを作る仕事です」(デジタルシネママスタリング・山田瑞恵)

「私は山田さんと一緒にデジタルシネママスタリングを担当していて、今回はサブという形で関わっています。社内で一貫してポスプロを手掛けていると、最後チェックのときに各部署に声を掛けやすくて、すぐに確認に来てもらえるというのはいいところです。それぞれの担当がいるので、すぐに品質に関する確認が取れて、素早く対応することができます」(デジタルシネママスタリング・杉山実穂)

社内で連携しながら仕事を進められるというのがチームのよさで、「メーリングリストを作って情報共有しているので、いまこういう状況だというのは把握できるようになってます」とラボマネジメント・鈴木。一方で、「内線で呼べば来てくれるというのがいいところで、よくないところは内線で呼ばれてしまうっていうところですよね。”何かやらかしたかな!?”っていう(笑)。でも間を挟まなくてよくて、レスポンスが早いっていうのはいいところです」とデジタルグレーディング・高田。
そんな気安い冗談を言えてしまうというのも、また社内チームならではだろう。


お客さまが心配しないでいいように、検証に検証を重ね、道筋を整える

_MG_5110

これまでにもさまざまな作品で組んできている、今回のチーム。ラボマネジメント・鈴木が各担当を評して、「個人の性格が出るところはあって、心配性だったり、細かかったりっていうのは多少あります」と語ったときに、一同の視線が集まったのが、テクニカルディレクターの石橋。デジタルグレーディング・高田がこう結ぶ。「考えることに関してはテクニカルディレクターが全部やってくれていて、脳みそはそちらにあるので、僕らは自律神経として動けばいい。裏を返せばディレクターは心配性だっていうことなんですよね(笑)」。

では、そう評された石橋の言い分は?
「検証できるところはすべて検証して作品に臨むというのがディレクターのメインの仕事で、お客様が心配しなくてもいいように道筋を整えることが役目ですからね。それをしっかりやるということを心掛けているだけ。自分の性格がどうこうという話ではなくて、仕事としてどうあるべきなのかという話です。皆さんには心配症だって言われるんですが、自分ではそうじゃないと思ってます(笑)」(テクニカルディレクター・石橋)


フィルムを扱えるIMAGICAという会社の強み

_MG_5094

それぞれにエキスパートがいて、それぞれのプロフェッショナルな仕事ぶりがあるのが、IMAGICAの売り。それは前述したように、作品の規模や条件は違っても変わらないが、今も昔もフィルムを扱ってきたIMAGICAだからこそのアピールポイントというのもある。

「我々の部署に関してもそうですが、ほかの部署に関してもフィルムに携わってきた人たちがいるので、旧作のマスタリングの仕事や海外のフィルム作品の仕事が来たときに、フィルムの特性を分かったうえで作業できるというのは強みだと思います」(デジタルシネママスタリング・山田)

「私も、もともとはフィルムの色調整の仕事をしていたんですが、いまはフィルムの部門が縮小して、それぞれ各部署に移っているんです。ただ、フィルムの作品で何かあったときに、それぞれ精通している人間がいるので、いろんな知恵をギュッと集結できるのがいいところだし、楽しいなって思います」(デジタルシネママスタリング・杉山)

どんな規模でも条件でも、最大限の専門性を発揮する。それがIMAGICAのチーム力でクオリティだ。

Text:渡辺 水央 / Photo:杉崎 勝己

ページのトップへ戻る