ImagicaSEA ×IMAGICA~Session2

日本と海外のそれぞれの仕事環境の違い

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日本と海外の交流が進む中で、IMAGICAにおいても世界を見据えた展開が進んでいる。そんな中で、マレーシアに設立された東南アジアの拠点〈Imagica South East Asia Sdn.Bhd.〉(以下、Imagica SEA)と、銀座7丁目スタジオに新しく作られた〈BOX〉のスタッフが対面。文字通り交流の場を持った。

国はもちろん、文化や言葉は違っても、それぞれIMAGICAに携わるスタッフとして、またポストプロダクションに関わるスタッフとして、目指すところは同じ。お互いの業務についての説明から、自然と話題は仕事環境の話へ。Imagica SEAサイドから、「CGのスケジューリングで〈SHOTGUN〉(=プロジェクト管理ツール)を使ってますか?」と質問が出て、「映画だと使いますが、CMは仕上げるまでの期間も短いので使っていないですね」と〈BOX〉サイドが答えるなど、具体的な話も飛び交った。

そしてそれ以上に両者が関心を持っていたのが、仕事の進め方。1本のCMの製作期間はどのくらいなのか。またそこにおいて、クライアントやエージェンシーとはどういう話し合いをするのか。そこは日本もマレーシアも大きくは違わないようで、Imagica SEAのカラーグレーダー・Andreas Brueckl(アンドレアス)の「クライアントとエージェンシーのオーダーに対して、それをうまくミックスしながら、自分のアイデアも出していくことが大事」という言葉に、日本のスタッフもうなずく。


海外に聞く、次世代のスタッフの育て方

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Imagica SEAのポストプロダクションスーパーバイザー・Christian Felipe P.Cortez (ターノ)、〈BOX〉のリーダーである岡琢磨、Imagica SEAの日本人スタッフでコンポジターのMakoto Amemiya(雨宮)の間で、こんなやり取りも行われた。

「クライアントとエディターの関係は、日本ではどういう感じなんですか?」(ターノ)

「お話を聞いている限りでは、マレーシアと変わらないですね。クライアントとの最初の仕事をきっかけに、そこで気に入っていただけたら、次の仕事に繋がっていく。ターノさんもおっしゃってましたが、友人のように仲良くなって、飲みに行ったりしながら関係を築いていくということもあります。逆にターノさんにお聞きしたいんですが、我々も今後、スーパーバイザーを育成していきたいと思ってるんです。そのためには、技術的な知識も身につけないといけない。その知識をどういう形で得ていくのか、スーパーバイザーを目指すに当たって大事なことは何か教えていただけますか?」(岡)

「エディターが帰ったあとに、機材を自分で触ってみて、どういうものなのか理解するということはしています。作業をしているスタッフの隣に座って話して、コミュニケーションを取りながら、私自身もそこで技術の知識を得ています。あと基本的なこととしては、常に努力をして、快適な状況であっても常に新しいことを目指すつもりで仕事をすること。そしてなにより、まわりのスタッフやクライアント、人との関係をうまく構築していくことが大事ですね」(ターノ)

「ターノのいいところは、仕事を任せてくれるところなんですよ。もちろんクリエイターとのコミュニケーションやリレーションシップを取りながら仕事を進めていくんですが、作ったものに対しては意見を言わないで、クリエイターをリスペクトしてくれるんです」(雨宮)

「クリエイティブな人はいっぱいいるので、私自身はテクニカルなサポートに集中しています。あとスーパーバイザーとして大事なことは、どんな状況でもそこにいて、スタッフのケアをするっていうこと。トラブルがあった場合は、特にそうですよね」(ターノ)

「信頼関係というのは、やっぱり大事ですよね」(岡)


仕事や交流の幅が広がる海外での仕事への興味

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仕事のやり方は異なっても、仕事の在り方は同じ。だからこそ日本のスタッフも、海外との仕事や海外での仕事に興味は広がる。

「まず英語を覚えないといけないですが(笑)、海外の仕事をすることでさらに自分の幅も広げていけるのではと思っています。自分は音を専門にやっていますが、例えばセリフの間の取り方にしても、国によって全然違う。そういうところも勉強になりそうですよね。一方で日本のメディアも幅が広いので、そこで得たものを海外で展開できたら面白そうだって思います」(ミキサー・北穣至)

「CGで言うと、海外のほうがよりスペシャリストの要素が強くて、日本はジェネラリストが多いんです。海外のスペシャリストの仕事のワザを盗めたらなっていうのはありますね。日本人は見て学ぶことがうまいので、ジェネラリストがスペシャリストのワザを知ることで、さらに新しいものを生み出せていけるんじゃないかと思います」(CGデザイナー/ディレクター・竹内一政)

「イギリスに研修に行ったときに、いろんな国の人と関われたことがまず面白かったんですよ。海外との仕事には、そういう楽しみもある。マレーシアとの仕事は以前に少しやったんですが、そのときは直接的な交流はなかったので、これからもっとやっていけたらなって思ってます」(CGデザイナー・佐々木理)


海外でも活かせる日本のクリエイティブのよさ

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「文化や考え方が違う人と接することは刺激にもなるので、海外の仕事には興味ありますね。海外には海外の技術やワークフローのよさがありますが、日本には日本のよさもあるので、そこはアピールできるんじゃないかと思います。例えば日本のオフライン編集だったら、今ある素材でどれだけのことができるのかっていう可能性をいろいろ探るところから始める。そういう丁寧さやきめ細かさは、活かせる部分だと思います」(オフラインエディター・渡辺聡)

日本と海外、その交流の中で、それぞれのよさを取り入れながら相乗効果で作られていくもの。それこそIMAGICAが提唱する、”グローバル・スタンダード”だ。それは固められていくものではなくて、次々に広がって続々と新しくなっていくものでもある。

「ここ数年で、海外研修も含めた海外との交流はもちろん、社内の交流もこれまで以上に活発になっていて、いろんなやり方や知識を吸収できる環境が整いつつあるなっていうことを感じています。今日、こうしてImagica SEAの皆さんと話せたことも、すごく刺激になりました。その中で、こうしたほうがよりよくなるんじゃないか、こんなこともできるんじゃないかっていう可能性がさらに広がった。〈BOX〉にしても、海外との交流にしても、まだまだ始まったばかりです。ただ我々としては、だからこそこれからスタンダードとなるいいカタチを作っていけると思っています」(岡)

Text:渡辺 水央 / Photo:杉崎 勝己

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