由良 俊樹

エンドロールに名前が乗るという夢を実現

由良 俊樹/カラーマネジメントスーパーバイザー

yura

色を見ている人は、夢もまた見てきた人でもある。カラーマネージメントの仕事を担う、由良俊樹。彼はもともと映画が好きで、そこから映像業界を志してIMAGICAに入社した。

「両親も祖父母も映画好きで、小さいころから祖母によく映画館に連れていってもらってました。当時観ていたのは、『釣りバカ日誌』や”寅さん”(『男はつらいよ』)。”寅さん”は子ども心にも面白かったです。仕事として映画の世界を意識したのは、高校生くらい。『ジュラシック・パーク』や『タイタニック』でCGが注目され始めた頃で、そっちの道に進みたいな、と。その頃、夢見ていたのは、映画のエンドロールに名前が載ること。その夢は叶いました。入社して最初にやっていたフィルムレコーディングで初めて名前が乗ったのが『劇場版どうぶつの森』(06)というアニメーション。映画館に観に行って、感動しましたね。DVDも買いました(笑)」

技術全般への興味が、やがて具体的な色への興味へ。フィルムレコーディング、フィルムスキャニングを経て、色の保持と管理を行う現在のカラーマネージメントの職に就いている。自分自身について、「地道にコツコツやることに向いているタイプ」と由良。それがカラーマネージメントの資質とも重なるが、穏やかな話しぶりや雰囲気に反して、かなりアグレッシブ。ただ、そこもまたカラーマネージメント向きということになる。


仕事において大事なのは調整感覚と○○力?

_MG_4115#

「入社面接のときから、映画の技術をやりたいと会社にアピールしていました。やるんだったら、花形であるフィルムタイミングをやりたいといっていたんですが(笑)、そこはやはり難しいので、技術を活かせるところでいろいろ経験させてもらいまして。
カラーマネージメントの仕事ができることになった時は、色の仕事をやりたかったので、嬉しかったですね。初めに学んだのは、色の基礎知識。色を読む数値や変換するための計算式を覚えたんですが、あと大事になってくるのが色を見る目。数値で合わせても、最終的には実際に人の目で見た色が重要になってくるんです。その兼ね合いが難しいところではあるんですが、面白いところでもあって、腕の見せどころなんですよね」


環境や条件もさることながら、例え同じ色であっても人によって違う色に見えてしまうこともある。その色が正しいことをどれだけうまく説明して納得してもらえるかというのも、大切な仕事。仕事に必要な「〇〇力」ということで言えば、カラーマネージメントにおいて「説得力」というのも大事な力かもしれない。


「本当に大事ですね。あとは何か難題があったときに、解決策をどれだけ出せるかという臨機応変さや、コミュニケーションも大事になってきます。自分自身では、数値によるものと見た目からくるものとのバランスを取ることは、うまくできるほうなんじゃないかと思います。数値の理論と、感覚的な見た目の中間のところはうまく調整できているかな、と。もともとサッカーをやってまして、ポジションがボランチだったんです。ボランチはバランサーで、オフェンスもディフェンスも手伝うポジション。もともとそういうところに向いているのかなと思います(笑)」


ちなみに、「よくA型っぽいと言われるんですが、B型のひとりっ子なので、家庭では調整役にはならないかもしれないです(笑)」とも由良。ただ、最近は子どもたちを連れて映画を観に行っているという話で、「子どもが映画館にいけるようになる前も、映画館に行きたいなって思ってたんですが、妻と子どもたちを置いて自分だけ行くっていうのはさすがに気が引けますからね」。家庭でも十二分に調整感覚は発揮されているのでは?


技術の開発もまたカラーマネージメントの仕事

_MG_4073#

さて、学生時代の由良にはもうひとつ夢があった。それは、アカデミー科学技術賞を受賞すること。エンドロールに名前が乗る夢はすでに叶っているが……。


「アカデミー科学技術賞を取る夢も、昨年(2014年)の最高賞がフィルム文化に関わってきたすべての人たちに贈られる賞だったので、計らずも受賞の夢が叶ったと言えば叶ったんです。そういう意味では、学生時代に思い描いていた夢はすべて叶いました(笑)。ただ、これからの個人的な夢として、新しい分野というか、映画、テレビ、CMにとらわれない新しい映像市場の開拓や、新しい技術の開発をしていきたいというのがあるんです。」


開発というのも、カラーマネージメントの仕事の内。2009年にIMAGICAが開発を発表した”Kirion(キリオン)”というカラーマネージメントシステムの開発にも関わったんですが、いい作品を効率的に仕上げる下地は揃ってきているので、お客様の要望もすくい上げられるような技術の開発ができないかなと思っています。アップル社のiPhoneのように、今までになかったもので、大きく環境を変えるようなものを生み出せたらなと。個人での受賞もあきらめてないです(笑)」


ゆくゆくは、IMAGICAのスティーブ・ジョブズに? 無限に広がっていくものの中で、明確な何かをつかみ取るというのは、カラーマネージメントの仕事も人生も同じ。色を確かにしていく人は、夢を確かにしていく人でもある。

Text:渡辺 水央 / Photo:杉崎 勝己

ページのトップへ戻る